心を楽にするために振り返る子育て

子供への虐待の本質

回想と解釈

子供の虐待は、どうして起こるのか知っていますか?

虐待をするような親が、特異的に生まれてきたからでしょうか?

いいえ、それは違います。

人は、みんな 『愛されるべき可愛い存在』 として、生まれてきます。

悪魔のような人格が、突然変異のように生まれてくることは、まず、ないのです。

それでは、どうして、『愛されるべき可愛い存在』 として生まれてきたが、子供を虐待するような親になってしまうのでしょうか?

少し長くなりますが、説明します。

子供を虐待する準備段階・・・それは親が子供の頃の家庭にある

それは、親が子供だったときの家庭の中で、

  • 『これだけは絶対に許されない』 、それ破れば恐ろしい罰が待っている』といったルールが、あったか無かったか?
  • あったとしたら、それは、どのようなことだったのか?

ということによるのです。

例えば、「下らないことで泣くな!」と育てられ、もし、些細なことでメソメソしていたら、親の逆鱗に触れて次のような事態になる経験を繰り返したとします。

  • 家の外に締め出されていつまでも家に入れてもらえない
  • 物置に閉じ込められる
  • 強い口調で怒鳴り散らされる
  • 殴り飛ばされる
  • 泣いているのに抱き上げられずに、放置される
  • いつまでも口をきいてもらえない
  • いくら謝っても許してもらえず、親の気が済むまで、説教が延々と続く

これらは、子供にとっては、家庭にある掟を破った罰です。

そんな罰が毎日続く生活は、子供には辛過ぎます。

もし、大人がそんな場所に一時的に身をおいたとしても、健康な精神状態であれば、そんな場所から自力で逃げることができます。

しかし、子供にはそれができません。

そんな場所でも、なんとか頑張って生きていかなければならないのです。

そこで、子供は、『自分らしく望んだり、感じたり、行動したり、反応したりして、あの嫌な事態を招く』 よりは、『自分の素直な反応が表に出ないようにする』 という道を選択するのです。

つまり、我慢するということです。

小さな子供には、そういう選択をするしか道はないのです。

何かを望んで自分らしく行動したり、自分らしく感じたり・・・といった自然な反応を抑圧するのは、容易なことではありません。

自然な反応を抑圧するのは、もともとは、かなりの努力が必要で、困難なことです。

しかし、我慢する努力をしなければ、ひどい目に合ってしまうのですから、何が何でも頑張らざるを得ません。

ですから、家庭の中に、先に示したような厳しい罰則があるようながあるとき、子供たちは、その掟を破らないように必死に頑張っているのです。

ほとんどの場合、その頑張りは、やがて心と体に染み付いていきます。

そして、成人して親から離れ後でも、それから開放されることはなく、無意識的にその掟に従ってしまうようになるのです。

我慢無意識化してしまうのです。

余談ですが・・・

そのようになると、子供の頃はあれほど苦労して抑えていた望みや感情が、逆に、分からなくなったり、感じられなくなったりする状態に陥りがちです。「自分の本当の気持ちが分からない」と苦しんだりすることにもつながります。

感情的になる理由

人がイライラするのは、次の3つに分類されると考えています。

  1. 自分が我慢していることを他人が我慢しないとき
  2. 我慢を強要されるとき
  3. 「目の前のこと」以外のことが気になっているとき

例えば、満員電車の中で若者たちが、ポテトチップスをバリバリと食べてるのを見たとき、イライラすることがあるのも同じような理由です。

この場合は、家庭の掟ではなく、社会に漂う暗黙の掟によって、自分の「電車の中でお菓子を食べる」という行動を抑圧してしまっていることがイライラの原因です。

「俺は掟を守ってるのに、どうしてあいつらは掟を守らないんだ!」

こんな感じです。

冷静に考えれば、誰かが電車の中でポテトチップスを食べようが、そんなことは、自分の人生にとっては無関係なので、イライラすることに必然性はないということは、を分かっていただけるのではないでしょうか。

同じように、親が子供の頃に我慢しなければならなかったことを、自分の子供が我慢しないのを見ると、イライラとした感情が湧き上がってくるのです。

  • メソメソする子供をみたときイライラする人もいるでしょう
  • 問題を自分で解決しようとしない子供をみるとイライラする人もいるでしょう
  • 食事を一生懸命に食べない子供にイライラする人もいるでしょう
  • ちょっとした兄弟げんかでもイライラする人もいるでしょう

イライラする事柄は、人それぞれです。

それらは、親が子供の頃に、自分の親から受けた仕打ちと同じなのです。

親が子供を虐待するとき、親の心の中では、そのようなことが起きているのです。

その子供が大人になって自分の子供を持ったとき、恐らく、自分の親と同じような状態になると予測されます。逆に、自分の親にも、また、子供の頃があり、その親から同じような仕打ちを受けていたと想像することができます。

このように、虐待の原因となることには、放っておけば先祖から子孫へと代々伝わってしまう性質があるのです。

これは社会が荒れる原理と同じ

これは、親の子供に対する特殊な感情ではありません。

大人が他人の子供に感じることもあるでしょうし、先生が生徒に感じることもあるでしょうし、大人が大人に対して感じることもあるでしょう。

また、少し焦点はそれますが、誰かのブログが炎上したりするのも、突き詰めれば、原因は同じようなところにあると考えています。

更に、DV(ドメスティック・バイオレンス)も、原理は同じです。

無意識化した我慢は人を責め立てるのです。

虐待をしてしまう親も、きっと反省している

きっと、虐待をしてしまう親も、反省したり、自己嫌悪になったりして、つらい気持ちになっているのだろうと思います。

そんなことしたくないはずです。

でも、頭では分かっているのに、「あること」になると、理性では考えられなくなり、心が勝手に反応してしまう ということに困っていることだと思います。

「分かっているのに、いつまでも止められない」、そんな自分を責めたりしていることだと思います。

虐待の解決方法

親が子供を虐待するとき、その解決方法は次の2つしかありません。

社会が好む方法は、

  • 親が心を入れ替える
  • 親が心を入れ替えなければ、子供を親から引き離す

といったことだと思います。

でも、このような対処では、誰も幸せにならないと考えています。

私が考える、みんなが本当に幸せになる可能性が高い方法は、2番目の「親を子供の頃からの頑張りから開放する」という方法です。

 

いくら「虐待はいけないことだ!」とその親を責めてもだめです。

親が救われなければ、子供は救われないのです。

逆に、親が救われ、子供の頃からの呪縛から開放されれば、その子供も救われるのです。

親が救われれば、感情にコントロールされ意思では制御できない反応が、だんだんと起こらなくなっていきます。

つまり、虐待行為は、次第に消失していくのです。

子供の頃からの頑張りから開放する方法

親の心を救うために、色々なアプローチはあると思うのですが、まずはじめに思いついて、しかも、私のイメージに合っているのが、一般的に『インナーチャイルドの癒し』といわれている手法です。

インナーチャイルドといっても、実際に、自分の中に『インナーチャイルド(内なる子供)』というものが存在するということではなく、手法の中でも便宜上用いる用語です。

ただ、実際にやってみると、なぜか、自分の中にいる「子供の頃の自分」が救われるような感覚は感じます。

インナーチャイルドの癒し的なことを、以前文章で表現してみましたので、参考にしてみて下さい。

■心のショートストーリー
http://www.pureheart-counseling.com/short_story

ポイントは、自分のイメージの中にいる「子供の頃の自分」に、「今まで、自分のこと、一生懸命に守ろうとしてくれて、ありがとう。一生懸命に頑張ってくれてありがとう」って心を込めて伝えようとすることです。

自分でやるときのイメージを少し説明します。

  • 深呼吸を何回か繰り返します。
  • 目を閉じて、子供の頃の自分をイメージします
  • 例えば「●●ちゃん、よく頑張ったね・・・」と心を込めて繰り返し伝えます

繰り返しているうちに、子供の頃の気持ちが、ふぅ~っと湧き上がるように思い出されるタイミングが訪れ、心の底から泣けてきます。泣けてこないうちは、自分の子供の頃の苦しい気持ち、悲しい気持ち、そして、頑張りを、まだまだ分かってあげられていないということになります。できれば、泣けてきたときに、誰かにそばに居てもらって背中をさすってもらえると良いでしょう。(一人孤独に泣くほどつらいことはないのですから・・・)

それと、次のような商品があります。

あなたの中にいる傷ついた子供を癒す ~インナーチャイルドヒーリング~

正直に言いますと、その中味がどんなものかは知りません。ただ、リンク先の文章を読んでいると、私の考えと近いことが書かれているので、もしかしたら、心を癒す助けになるのではないかと思っています。もし、購入されることがあれば、感想など教えていただけると嬉しいです。

【追記】2012.03.06
買いました。
良かったです。
次のページでちょっと説明しておきました。
https://www.childcare.pureheart-counseling.com/innerchild-healing/0050-2

コメント

  1. つゆり より:

    はじめまして。つゆりと申します。
    貴サイト「子育てと解釈」を読み始めたばかりです。

    子供たちとの接し方がわからず、買い求めた子育て関連の書籍は30冊を超えました。

    それでもわからなかった答えが、貴サイトを読み進めていくことでわかりそうな気がしています。

    私自身、母親に抱きしめられた記憶はほとんどありません。

    一度だけ・・16・7歳の頃に、家族の前で自分の感情を抑えきれず泣きながら暴言をはいたときに、母親に抱きしめられのを覚えているだけです。

    幼稚園のころには、周囲の顔色をうかがう子供でした。

    自分の周りで起こる悪いことは、すべて自分が
    原因なのだと思う子供でした。
    (大人になった今でも、かわっていません。)

    なぜ自分が悪いと思うようになったのかは・・
    自分でもわかりません。いつもビクビク過ごしていました。

    親から虐待はうけていませんが
    両親は超がつくほどの過保護・過干渉・心配性です。

    思春期になり過保護な親が大嫌いだと思うようになりました。
    その親に、反抗しつつも養育してもらっている
    (甘えている)自分はもっと大嫌いでした。

    今でも、両親とは距離を置いています。
    不仲ではないですが、私が両親と心を通わせて話をすることはありません。

    更に悪いことに・・
    私は、両親に育ててもらったのと同じ方法で
    子育てをしています。(たぶん・・。)

    このままでは
    子供たちまで、私と同じ自己評価の低い・目標のもてない意識レベルの低い大人になってしまいます。

    だけど、どうしたらいいのか・・。
    良かれと思う方法を試しては自爆。子供たちに八つ当たり。こんな事を繰り返している母親です。

    小3の長女には、目に見えて影響が出てしまっています。彼女は「場面緘黙」という問題をかかえています。

    「場面緘黙」⇒安心できる場所では問題なく
    おしゃべりするのに

    主に幼稚園・学校といった特定の場所では
    話すことができなくなります。

    (↑診断がついたわけではありません。年に1回スクールカウンセラーと話をする程度です。)

    貴サイトには、私の心を揺さぶるなにかがあるのです。私は、子供の心を置き去りにしない母親になりたいです。

    (現状は、感情的に怒鳴り散らす・子供の笑顔を奪う事ばかりする母親ですから・・)

    長々と
    私事のコメントで、失礼いたしました。

    ご気分を害されるような文面でしたら、申し訳ございません。

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