心を楽にするために振り返る子育て

小学校の参観日(授業参観)で思ったこと

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先週末は、長男(小1)の授業参観に行ってきました。

見た授業は『道徳』。

授業の内容は、一般的に当たり前とされているようなテーマだったのですが、私の感想は、「あぁ~、小学校一年からこんなようなことを教え込んでいるんだぁ~」というものでした。

授業の内容を細かく書くのは面倒なので、ざっくり書きます。

プールに潜れなかった子供の物語を題材として、物語を少しずつ話し、シーンごとの主人公の気持ちを想像させる形で、授業は展開されました。

  • 学校のプールの授業で、潜る練習をしました。
  • みんなは頭まで潜ることが出来たのですが、太郎君は潜ることはできません。
  • 太郎君は、とても悔しい気持ちになりました。

先生 : このとき太郎君は、どうして悔しい気持ちになったのかな?
児童 : 自分だけ出来ないのは恥ずかしかったから。
先生 : そうだね。
児童 : みんなが頭まで潜れたのに、自分だけ潜れなかったから!
先生 : そうだね。じゃぁ~、続きを読んでみよう。

  • 太郎君は、お家に帰ってお風呂場で、お母さんと一緒に、一生懸命潜る練習をしました。

先生 : 太郎君はどんな気持ちだったかな?
児童 : 苦しいけど頑張るぞ。
先生 : そうだね。
児童 : 嬉しかった。
先生 : そうだね、お母さんと一緒だったから、安心な気持ちで練習できただろうね!続きを読むよ。

  • 次のプールの授業で、みんなで潜ることをしました。
  • いち、に、さん!
  • 今度は、太郎君も、みんなと同じように上手に潜ることが出来ました

先生 : 太郎君はどんな気持ちだったかな?
児童 : 嬉しかった。
先生 : そうだね、苦手なことでも、一生懸命練習したら出来るようになるし、出来るようになったら、嬉しいよね!

そんな感じの授業でした。

もうすぐプールの授業が始まるということで、そこで多くの子供が陥るだろう状況を克服させるために、このテーマが取り上げられたのだろうと思います。

まぁ~、こういう授業をしたい気持ちは分かります。

  • 悔しさをバネにして
  • 出来るようになったときの嬉しさをエサにして

『苦手なことにでも、逃げずに立ち向かう』ということを教えようとしているのでしょう。

しかし、「出来ないことを出来るようになりたい」と思うのは、別にわざわざ教育をしなくても、放っておけば、自然に人に生じる心の動きです。

それをあえて強調する教育の意味は、『逃げるという気持ちを封じ込め、逃げ道をふさぐ』ということにとどまります。

物語全体から受ける印象と、先生の誘導から、

  • 出来ないことがあるのは良くないこと
  • 出来ないことから逃げるのは良くないこと
  • みんなができることは、出来るようにならなければならない

といった意識付け(洗脳)をしてしまうのではないかと心配になります。

この授業の問題点をまとめると、

  • 太郎君の気持ちは、『悔しい気持ち』ということを前提にしてしまっている。
  • 太郎君の悔しい気持ちにのみ着目したり、他人と同じでないことを問題にしたりして、「自分も潜りたかった」という何とも比較しない太郎君自身の気持ちを言語化していない。
  • 自分が抱えた負の感情は、放置するしかないということを、暗に示している
  • 更に、「負の感情をバネに、負の感情の原因となった事象を解決する」という、人の心を最も苦しめる『物事への執着』を対処方法として推奨している

という4点です。

『心を回復する機能』の活性化のことを考えると、教材として使う物語の内容を、次のようにしてみればどうかと思います。

学校のプールの授業で、潜る練習をしました。みんなは頭まで潜ることが出来たのですが、太郎君は潜ることはできません。

太郎君は、お家に帰って、お母さんに今日のプールでの出来事を話しました。

  • 太郎君:「今日はプールで僕だけ潜れなかったの。
    だから、もうプールしたくない。」
  • お母さん:「そう、どんな気持ちだった?」
  • 太郎君:「悲しかった」
  • お母さん:「そう、悲しかったんだね。
    だから、もう悲しくなりたくないからプールをしたくないんだね。
    そうだよね、また、悲しくなると思ったら、プールしたくなくなっちゃうよね。」

お母さんのその言葉を聞いたとき、太郎君の目からは、涙がたくさん溢れ出てきました。

  • お母さん:「ほんとは、どうしたかったの?」
  • 太郎君:「みんなと同じように潜りたかった!」
  • お母さん:「そうだね、自分だけ出来なくて悲しかったんだね。
    自分も潜りたかったのに、出来なくて悲しかったんだね。
    悲しい気持ちだったけど、最後まで頑張ったんだね。
    偉かったね。」
    お母さんは、そう言いながら、太郎君を抱きしめてあげました。

しばらくそうしていると、太郎君の悲しかった気持ちは、だんだん安心な気持ちに変わっていきました。

そして、さっきまで「プールなんかしたくない!」と言っていた太郎君は小さな声で、お母さんに言いました。

  • 太郎君:「僕も頭まで潜れるようになりたいなぁ~・・・・」
  • お母さん:「そうだね、潜れるようになりたいんだね。
    じゃぁ~、お母さんも、協力できることがあったら、手伝ってあげるよ。
    あっそうだ、お家のお風呂で、お母さんと一緒に練習しようか?」
  • 太郎君:「うん!!」

太郎君は、お家に帰ってお風呂場で、お母さんと一緒に、一生懸命潜る練習をしました。

あれだけ嫌だった頭まで潜る練習が、こんなに楽しくなるなんて、太郎君はとっても不思議でした。

太郎君は、どうして気持ちが変わったのかは分からなかったのですが、「お母さんってすごいな」って思いました。

次の日のプールの授業も、頭まで潜る練習でした。

いち、に、さん!

今度は、太郎君も、みんなと同じように上手に潜ることが出来ました。

太郎君は、とっても嬉しい気持ちになりました。

そして、学校が終わると、家まで一目散に駆けて帰りました。

  • 太郎君:「おかーさん!プールで潜れたよぉーーーーっ!!!」

太郎君は、「ただいま」を言うのも忘れてニッコニッコの笑顔で言いました。

  • お母さん:「よかったねーっ!」

お母さんもニッコニッコ。

そんなお母さんを見て、太郎君は、もっと嬉しくなりました。

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