心を楽にするために振り返る子育て

子育ての目標

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子育ての目標に、『社会で自立できる大人に育てること』という気持ちを持たれている親御さんは多いと思います。

でも、『社会で自立する』って立派なスローガンを掲げてしまうと、いざ、それを具体的に実践しようとした時に、「それって、いったい、どんなことなのだろう???」と困ってしまうことも多いのではないでしょうか?

そう考えてみると、「子育ての迷い」というのは、自分の子供に対する迷いではなく、実は、『社会で自立する』という言葉に対する自分自身の迷いであるのかもしれません。

『自立』という漠然とした言葉の呪縛から離れる為には、まず、「心の自立」という部分を押さえておくことが大切だと考えています。

「心の自立」ということについては、心理に関する話しの中で、しばしば出てくるので、一度は、聞いた事があるかもしれません。

【心の自立】

次の3つに責任を持てる状態を「自立している」と表現されることが多いです。

1.自分の感覚や感情 

2.自分の思考  

3.自分の行動

これだけでは、分かり難いと思うので、少し例を書いてみます。

○友達と喧嘩して、自分はスッキリしているにも関わらず、親が勝手に憤慨して友達の家に怒鳴り込んでしまっても、子供はそんな親の行動に責任は取れません。

(でも、結果として、友達からは、その責任を問われることになったりします。)

○友達と喧嘩して気持ちが治まらず、友達の家に怒鳴り込もうと考えていた時に、親が先に怒鳴り込んでしまっては、自分がした事にならず、やっぱりスッキリしません。

○大工さんになりたいと考えているのに、親の考えを押し付けられて大学に行っても、そこでの色々な出来事の責任は自分ではなく親にあるように思えてしまうかもしれません。


まとめると、「感覚や感情」、「思考」、「行動」の3つの内の、いずれか一つでも、他の人にとられてしまうと、心に満たされないような感覚や、誰かにコン トロールされているような感覚が残ってしまうのだろうと思います。

そして、そんな経験を繰り返していると、そんな感覚は、世界観としてその人に大きくのし かかるようになり、

  • 自分の人生は、自分の力ではどうすることも出来ない
  • 自分の力では幸せになれない

という世界に自分自身を追いやってしまうようになるかもしれません。

そして、自分が幸せになれないと感じていると、心の中は、「社会的な自立」どころの騒ぎではなくなって、もしかしたら、「生きるか死ぬか」に匹敵するほどの悩みになってしまうかもしれません。

逆に、「自分の力で幸せになれそうな予感」さえあれば、親がとやかく言わなくても、子供は勝手に社会的に自立していくのではないかと思います。

最後に、3通りに書き方をして、終わりにしたいと思います。

【親が避けた方が良いと思われること】

1.子供の代わりに感じない/子供の感情や感覚を否定しない

2.子供の代わりに考えない/親の考えを押し付けない

3.子供の代わりに行動しない/行動できるチャンスを奪わない


【親にとっての心得】

1.子供が感じられるように助けようとする

2.子供が考えられるように助けようとする

3.子供が行動できるように助けようとする

簡単に言うと、

  • 親は、自分の感情や感覚や考えなどを押し付けずに、子供が必要とするときに、子供の話を、共感しながらじっくりと聴き、子供が自ら行動するところまで、ゆっくりと見守ってあげる

これに尽きるのではないかと、私は考えています。


【子供の心への影響】

1.親が子供の代わりに感じること

・自分は何かを感じていても、その感覚や感情を具体的に理解しようとせずに、他の人が何かを感じることを期待するようになることにつながるかもしれません。

・自分の感情や感覚よりも、相手の感情や感覚に目が向いてしまいがちになって、他人の感情や感覚ばかりを想像する(気にする)ようになるかもしれません。

・その結果、自分の感情や感覚を感じ難くなり、「自分自身が確かなものではない」という感覚を持つことにつながるかもしれません。

2.親が子供の代わりに考えること

・自分の気持ちを、自分が伝えようとしなくても、他人が勝手に汲みとって、考えてくれるということを期待するようになるかもしれません。

・自分の考えではなく、相手の考えを想像するようになるかもしれません。

・「考えても仕方がない」という「漠然とした諦めの感覚」をいつも身にまとってしまうことにつながるかもしれません。

3.親が子供の代わりに行動すること

・自分の気持ちや考えは、自分が伝えようとしなくても、他人が勝手に汲みとって行動してくれるということを期待するようになるかもしれません。

・「自分の力ではどうすることも出来ない」という無力感のような感覚につながり、自分で行動し難くなってしまうかもしれません。


これらによって、 

 『子供』  ⇔ (子供が想像した相手) ⇔ 『相手』

という構図を作ってしまうことがあります。

もう少し説明すると、『子供は、子供が想像した相手と対話している』、『相手は、子供が想像した自分自身と対話している(他者を通じた自問自答)』ということになるのだと思います。

その結果、「本当の気持ち」と「本当の気持ち」の交流が阻害され、コミュニケーション不全の状態に陥ってしまうのです

これが、人間関係の悩み、或いは、人生の悩みの始まりの部分ではないか、と私は考えています。


次回も、子育てに関連して、「子供の感情への対応」という事について書いてみたいと思っています。

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