分離不安/分離不安障害について
分離不安という言葉があります。
心理学者が、子供が親離れをできない時の子供の心理状態を指して名付けた言葉です。
最近では、ある程度の年令になっても、そのような心理状態に陥る人のことを、分離不安障害なんて呼び方をするようです。
私は、分離不安障害なんて言葉を聞くと、本当に精神医療の世界は、何でもかんでも『○○障害』などと名前をつけ病気にしてしまうんだなと、ちょっとやりきれない気持ちになります。
色々な子育ての本には、子供の年齢と出きるべきこと、或いは、できるようにさせるべきことのガイドラインが示されています。
そんな事柄の中に、子供を親離れに関わるような記述もあります。
「○○歳には、○○を、一人でさせるようにしなさい」的なことが示されています。
卒乳やトイレットトレーニングなども、そんな事柄です。
ブログへの投稿(子供の気持ちのベースを「安心」にするためにしていること)に書きましたが、そのような指導書に書かれていることは真に受けない方が良いと思います。
- 『足りない内は求め、足れば要らなくなる』
それだけのことです。
分離不安も同じだと考えています。
下図を見て下さい。
安心が足りると、親から離れても安心なままでいられます。
安心が足りないと、親から離れると不安になります。
安心が足りると、自分から離れていきます。
「行くな!」と言っても、そんな親の言葉は振りきって、自由に行動します。
上の図では、右左どちらの親にも子供に十分に安心を与える能力があると仮定します。
でも、右側は、例えば、小さい内にでは、弟や妹が生まれることによって、お兄ちゃんやお姉ちゃんとなってしまった人が陥る可能性がある状態です。
で、現在、『分離不安障害』と呼ばれている状態は、次の図のような流れで陥るのではないかと考えています。
この図の親には、子供を安心させてあげる能力がありません。
ですから、子供は親と一緒でも、いつも不安です。
しかし、安心を求める相手は母親や父親だと本能的に認識するからなのでしょうか、
安心など一切与えてくれないと分かっていても、
どういうわけか、子供は母親や父親が安心を与えてくれるのを待ち続けてしまう(離れられない)のです。
そういう状態です。
障害でも何でもありません。
ただ、安心させて欲しいだけなのです。
病気にされて、薬だけ飲まされても、本当の安心は手に入れることができません。
世間一般的には、
- 親が子供を甘やかし過ぎるから親離れが出来ない
と認識されると思いますが、全くの的外れです。
- 子供の甘えが足りないのに、甘えさせてくれない親(甘えさせられない親)から離れられない
というチグハグな心理状態なのです。
このようなことには、本人でさえ、その時には気づくことができません。
余談ですが・・・
このあたりのことが、
- 自分の気持ちを分かってくれる人に、自分の気持ちを分かってもらおうとする
- 自分の気持ちを分かってくれない人に、自分の気持ちを分かってもらおうとする
というの傾向性の要因の一つになっているのではないかと考えています。