親心(おやごころ)
- 自分の子供には、幸せになってもらいたい
- 自分の子供には、苦しい気持ちをさせたくない
これらの思いは親心として、一般的に受けられているところがあります。
普通は、これらは、大らかに漠然と思っているくらいのもので、それにあまり執着している訳ではありません。
しかし、これらに強くこだわってしまうことがあり、そのこだわりが生じる背景には、
- 自分は幸せではない
- 自分の心は苦しい
という本人が自覚していない気持ちが隠されています。
説明している題材は少し違うかもしれませんが、反対側に意識が向かってしまうカラクリは同じです。
- 心のマニュアル:【補足】 09-03. 人の心の中に出来てしまう『ある基準』について
http://www.library.pureheart-counseling.com/manual-of-mind/09-think-again-about-the-real-solution/
そして、『子供の幸せ』への執着が、子供を取り巻く人々だけでなく、幸せをつかませたいと願っている対象の子供さえも、心に苦しみを抱えてしまう状態へと追い詰めてしまいます。
この『子供の幸せ』への執着によって親が起こす様々な思考や行動は、ほとんどの場合偽解決です。
100%偽解決であると言っても過言ではありません。
偽解決とは、誤った解決へのこだわりのことを指します。
極端な例ですが、例えば、空腹感をお腹の調子の悪さだと誤解して、胃薬を飲むような感じです。
これは、自分の心の苦しさを解決しようとするときに陥る状況と同じです。
本当の幸せは何か?
それは、さまざまな価値観が入り乱れる現在においては、自分の思考だけで理解することは非常に困難なところがあります。
ですから、まず、それが何なのかを知ることができるのなら、それを受け入れることが、無駄に悩み苦しみ続ける時間を過ごさなくても済む最善の策になります。
しかし、『幸せ』に関する考え方も様々な情報が入り乱れているため、何を信じれば良いのかが分からないところがあります。
私は、多くの方々とのカウンセリング、自分自身の心の洞察、自分自身の子育てなどを通して、ほぼ、その答えであろうことにたどり着くことができました。
原因としては、
- 子供の頃、苦しい気持ちの時に「自分ひとりで耐えるしかない」という比率が高かった
ということであり、その解決策としては、
- 自分自身のためには: 苦しいときに限らず嬉しいときなども、自分の感情に誰かに寄り添ってもらうようにする
- 子供のためには: 子供が苦しそうなときにはそばに寄り添ってあげ、嬉しそうなときには一緒に喜んであげる
ということになります。
たった、それだけのことです。
- カウンセラーが理解した心:11-02. 第二段階(幼児期)
http://www.library.pureheart-counseling.com/single-content-collection/formation-of-values/
これは、かなりの確率で、本当の答えに近いことだと考えているのですが、それよりも、さらに重要なことがあります。
ここからが本題になります。
原因や解決策よりも大切なこと
私は、前節で述べた原因と解決策は、かなりの確率で真実に近いと信じています。
しかし、「何が答えか?」ということよりも、もっと、大切なことがあります。
仮に、
- 子供を幸せにする親の関わり方
- 子供に心の苦しみを抱えさせない親の関わり方
や
- 子供を不幸にする親の関わり方
- 子供に心の苦しみを抱え込ませてしまう親の関わり方
などの揺るぎない絶対的な真実が判明したとします。
これも漠然と思っているうちは良いのですが、もし、それらを実践し子供が苦しみを抱えずに幸せになれる完璧な状態を実現しようと、それらの基準に執着してしまうと、様々な事柄をその基準によって分類してしまうことになり、
- 親自身が基準を守った行動を取ろうと、その基準に縛られる
- 基準外の対処をする子供を取り巻く人々の行動を、基準に合うように正そうとする
- 子供を基準外の環境には近づかないようコントロールしようとする
といった状態を生じさせてしまいます。
その結果、基準に執着した本人を含め、その人に関わる全ての人を苦しい状態に陥れてしまうのです。
つまり、執着こそが、本当の原因なのです。
なぜ、子供の幸せに執着するの?
なぜ、子供の幸せに執着するの?
繰り返しになりますが、それは、
- 自分自身が苦しいから
- 自分自身が幸せだと思っていないから
です。
ですから、子育てにおいて、『子供の幸せ』に対する執着から離れるためには、
- まず、親自身が楽な気持ちになり、自分自身が幸せになろうとすること
が大切です。
そして、最も重大なことがあります。
それは、
- あなたがそこで、今そうやって生きているという事実
です。
子育てに一生懸命取り組もうとしているあなたがそこにいるということです。
これまで生きてきた世界や人間関係は、理想的な状態ではなかったかもしれません。
理想とは程遠い悲惨な状態だったかもしれません。
そんな中で、あなたは、これまで、いろいろと苦しい経験もしてきたと思います。
そして、今、そこに居るのです。 あなたがそこに居るということは、
- あなたは、そんな苦しい中でも頑張って生きてくることが出来た
ということです。
つまり、
ということなのです。
そんな力が自分自身にあったということに気づいて下さい。
そして、そんな自分の力を、自分自身が認めてあげて下さい。
そうすれば、きっと、気づくことができます。
きっと、信じることができます。
という事実を。
その力を信じていれば良いのです。
その力を信じることができれば、
- 親は、子供に対する際限の無い心配から解放され子離れし
- 子供は、親離れするための経験と学習を積み重ねていくことができ、将来の親離れにつながる (親への嫌悪による親離れではなく、自分の能力が充実したことによる巣立ち)
のだと思います。
「信じる」という言葉を使って、子供を無責任に突き放してはいけません。
もし、子供が泣きながら癒しを求めてきたら、しっかりと抱きしめてあげることです。
もし、子供が嬉しそうにしていたら、一緒に喜んであげることです。
そして、子供が求めてこないときは、子供を抱きしめる心の準備をしながら、温かく見守るのです。
家庭内の過去の経緯によって、子供が、親に救いや共感を求めなくなってしまっている場合は、別の対処も必要です。
そして、これも、こだわる必要はないのです。
出来るときにはそうしてあげて、それを自分が出来ない時があることも認め、たとえそれができなくても、自分自身を責めないことです。
出来るときにしっかりそう対処してあげていれば、あなたがそれを出来ない時には、子供は、きっと、別の場所でそれを求め、それを得ることができるようになれるだろうと思います。