これから書く内容は大人にもあてはめて考えられますが、ここでは親と子供との関わりに焦点を当てて説明します。
「謝る」ということには、2つの目的があります。
- 相手を嫌な気持ちにしてしまったことを許してもらうために詫びること
- 自分の中の嫌な気持ちを済ませる(浄化する)こと
一般的には(というか、「世間体的には」かな…)、この1番目の目的ばかりが重視されがちです。
「相手に詫び、そして、許してもらう」ことだけを考えれば、「子供がやったことを、親が子供の代わりに謝り、相手に許してもらう」という対処でも目的は達成できます。
また、子供にしつけのことを考えて、相手への謝罪の言葉を子供の口から言わせようとすることもあるでしょう。
そのあたりは、親の教育方針や事態の重要性や緊急性などによって色々なパターンがあるでしょうし、「こうすべきだ」というやり方を想定して、それにこだわる必要はないと思っています。
しかし、「自分の気持ちを済ませる」、つまり、「子供の気持ちを済ませる」という目的は、可能な限り、こだわってあげるべきことだと考えています。
子供が悪いことをしてしまったとき、「相手が嫌な気持ちになる」ということは誰もが想像できるのですが、「嫌なことをしてしまった子供自身も、自分がしてしまったことを後悔して嫌な気持ちになっている」ということは見逃されがちです。
子供が悪いことをしたといっても、その行為に性悪的な悪意が含まれていることは、まずありません。その悪い結果に結びついてしまった行為は、
- どうして良いか分からないけど一生懸命に考えてやったこと
- 遊びの続きとしてやったこと
- こちらの好意に反して、相手が重く受け止めてしまったこと
といったような、ほんとうに些細なことなのです。
それなのに、予想外の結果になってしまって驚いているし、そして、後悔して苦しい気持ちになっているのです。
子供のこんな気持ちを解決させてあげるためには、親が、
- 子供自身が苦しい気持ちになっていることに気付いてあげること
- 子供がその気持ちを込めながら謝れるように手助けしてあげること
- 気が済むまで謝らせてあげること
- 謝って相手から許してもらえたとき、苦しい気持ちがどうなったかを確認してあげること(軽くなったことを自覚させるため)
が大切です。
また、このようにして、自分の気持ちを込めて謝り自分の気持ちを済まそうとすることは、自分の為であるばかりか、後悔している気持ちが相手に伝わって1番目の目的も達成されるはずです。
そして、もし、相手が許してくれなかったとしても、
- 許してもらえなくて悲しかったり苦しかったりする気持ちを、そうかそうかと聴いてあげること
この保証があれば、子供の心に『相手に謝る勇気』も湧いてくるものだと思います。
「謝られたら許すのが大人の行動」と形式ばかりこだわっていては、お互いに苦しさを蓄積させてしまい、やがて人間関係を保てなくなるのではないかと思うのです。
仮に、子供が謝るチャンスに恵まれなかったとしても、せめて親だけは、「そんなつもりじゃなかったんだよね。でも、あんなことになってしまってつらかったね…」などと言いながら、子供に嫌な気持ちを吐き出すチャンスを与えてあげた方が良いと思います。
今回説明したことを意識して子供と接することが、
- 自分は悪い子だ
- 自分はいけない子だ
などと、子供が真剣に思い込んでしまうことを、防ぐことになると信じています。
子供がどんなに悪いことをしたとしても、その気持ちをきちんと理解してあげれば、「やっぱり、悪意の無い天使のような存在だった」と、きっと、気付けるはずです。子供に、悪い子、いけない子なんて、決していないのです。
(実際の子育ての場面で、そんなことばかり言っていられませんが(苦笑)、頭の片隅にでも覚えておいて頂ければと思います。)
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