ここで説明する内容は、子供を犯罪者や自己破滅的な人に育てないために、とても重要なことです。
(「 子供を犯罪者にしないために 」やそこで紹介しているページなども参考にして下さい。)
子供の行動とそれに伴なう結果
子供が何かをしでかしたとき、腹を立ててしまう ※1 ことって、誰でもあると思います。
※1 「叱る」というよりは「腹を立ててしまう」とか「怒る」というように感情を伴う表現がふさわしい状態になってしまう
どのような状況になったときに反応してしまうかは人それぞれですから、上図の例のようなときには反応しなくても、感情的に反応してしまう状況はきっとあると思います。
なぜ、腹が立つのでしょうか?
それは、次のような理由からだと思います。
- 当然すべき注意を子供が怠ったことによって、親が迷惑だと感じることが生じたから
- 子供がその行動を続けていると、親が迷惑だと感じることが起こりそうな予感がするのに、子供はそれを止めないから
- 子供がその結末が起こるように意図的に行動したと感じるから
しかし、子供は、親に迷惑を掛けるために、そのように行動することはないと考えて、まず間違いありません。
なぜ、そのように言えるのでしょうか?
それは、冷静になって、子供の気持ちを理解しようとすると分かります。
子供の気持ち
子供がしでかしたことや、親の言うことを聞かないことをつい怒ってしまったとき、子供が話すペースで話を最後まで聞いたり、冷静に考えてみたりすると、子供の気持ちや状況は、大体、次のようなものであることが分かります。
- 色々なことに注意し切れなくて、つい失敗してしまった
- 思いついたことを一生懸命にやっていたら、親が怒るような状況になってしまった
- ただ、良かれと思って一生懸命にやっていたら失敗してしまった
- 楽しくて夢中になっていたら、予想外のことが起きてしまった
- 目の前のことに集中していたら、親が何かを言っていることに気付かなかった
- 親から言われていたことが難しくて理解できていなかった
つまり、「そんなつもりはなかったのに、そんなことになって驚いている」ということです。
悪意の所在
子供を「お前は悪いことをした!」と責めているとき、
子供がそれをしたのは悪意があったからではありません。
また、親も、「子供が悪いことをした」と信じて怒っているわけですから、親にも悪意はありません。
でも、親はその状況に悪意を感じているから怒っています。
では、いったいどこに悪意が存在しているのでしょう?
それは、「子供の行動とそれによる結果」に対する解釈の中に悪意が存在するのです。
「悪意のある解釈」 と 「悪意のない解釈」
特定の価値観に縛られて、子供にとっての真実を理解しようとできないとき、解釈に悪意が生じてしまいます。
その結果、親は、子供を特定の価値観に押し付けようと、「それができないお前は悪い子供だ!」などと責めるような行動をとってしまいます。
これでは、子供も親も救われません。
そして、そのような経験を繰り返すと、その頻度に比例して、子供は
- 自分は悪い人間なんだ
- 自分が何かをすると責められる
といった雰囲気に包まれていってしまいます。
この雰囲気を身にまとうことが、将来の子供を追い詰めることにつながります。
しかし、子供の行動には悪意がないということを信じて状況を理解しようとすると、親の反応は自然に違ったものになります。
親が、子供に悪意がないことを信じれば、子供を理解し受容し許すことにつながり、また、子供の感情を浄化することにもつながります。
(参考 : 子供の人生から「幸せ」を奪わないために・・・ )
受け取った悪意の性格への影響
親もただの人間です。
完璧な人などいません。
ですから、「悪意のある解釈」によって反応してしまうことは仕方ないと思います。(これが第二次反抗期の要因の一つとなります。)
しかし、その頻度があまりにも高かったり、受容される割合が少なすぎたりすると、子供を苦しい人生に追いやってしまう(犯罪者や自己破滅的な人にしてしまう)恐れがあると考えています。
最後に、それを図示しておきます。
ここで重要なのは、どんな状態に陥ったとしても、その人の心の本質は純粋なままだということです。
その純粋な心が、心を取り巻く悪意のある解釈によって、苦しんだり、追い詰められて苦し紛れの行動をとらされたりしているということです。
(参考 : 精神分析的な解説 ( ピュアハート・カウンセリング ) )
この悪意を含んだ解釈をする習慣は、世代を超えて家系の中を伝わります。
また、社会の中で広まっていきます。
現代社会は、この連鎖反応が家系の中でも社会の中でも加速している状態のように感じます。
その流れを断ち切るために、子育ての場面では、子供を怒る前に、何も考えずに、まず、次のような言葉を口にしてみると良いと思います。
- そんなつもりじゃなかったんだよね・・・
- ただ一生懸命だっただけなんだよね・・・
- なのにこんなことになって、ビックリしちゃったね・・・
とりあえずそう言ってしまってから、状況を理解しようとすれば、「悪意のない解釈」に近い思考になります。
それによって、きっと、子供の気持ちも親の気持ちも救われることになるのだと思います。
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